最近、SNSやデザイン業界で「Canva vs Adobe」という話題を目にすることが増えました。
「Canvaは初心者向けでプロの仕事ではない」「Adobeを使わなきゃ本物じゃない」など、いろいろな意見があります。
でも、実際にどちらのツールも使っている立場からすると——
その議論自体が少しナンセンスだと感じています。
なぜなら、デザインの良し悪しを決めるのはツールではなく、「意図」と「目的」だからです。
目次
「いいデザイン」って何だろう?
ツール論争を超えて大事なのは、「そもそもいいデザインとは何か」という視点。
どんなツールを使っていても、大切なのは“誰に・何を・どう伝えたいか”をデザインで形にできる思考力があること。
ツールの操作の技術ではなく、“人の心にどう届くか”を考え抜く力がとても大切だと思っています。
それが曖昧なまま作ると、どんなに綺麗なデザインでも「ただの画像」で終わってしまいます。
私の考える“いいデザイン”とは、
ターゲットと目的が明確で、見た人に行動を起こさせるデザインです。
「伝わる」「わかりやすい」はもちろん大切です。
でも、それだけでは心には残りません。
たとえば、SNSのタイムラインを想像してみてください。
無数の投稿が流れる中で、「気になる」「印象に残る」とユーザーに思ってもらえる。
そんなデザインこそ、目的を果たすデザインだと考えています。
「なんか気になる」「もう一度見たい」「誰が作ったんだろう?」
そんな小さな“引っかかり”を生むデザイン。
一瞬で記憶に残る力があるデザインが、結果的にブランドの魅力を伝え、信頼してもらえることにもつながると思います。
Canvaの強みと限界
Canvaは、非デザイナーでも直感的にデザインできる、とても優秀なツールです。
SNSの投稿画像やチラシ、名刺などをスピーディーに作るには最適。
Canvaはテンプレートも豊富で、Canvaだけでもある程度のクオリティに仕上げることができます。
実際に、クライアント様から「Canvaで納品してほしい」というご要望をいただくこともあります。
その場合は、イラスト素材や写真をIllustratorやPhotoshopで調整した上で、Canvaでデザイン・レイアウトを行い、データを納品しています。
このように、Canvaは“素材を活かすツール”であって、“素材を作るツール”ではないんですよね。
イラストを一から作り出したり、細かく加工するには向いていません。
そのため、Canvaで完結させようとすると「ある素材をどう工夫して使うか」がすべてになります。
これは逆に言えば、Canvaでデザインするには高い観察力と構成力が必要ということ。
「クライアントの世界観を引き出すデザイン」を作るためには、「テンプレートをそのまま使わない」「要素を足しすぎない」「伝わる配置に要素を整える」など、“引き算のセンス”が問われるのがCanvaの世界感です。
プロの現場では「Adobe」が必要になる理由
私のように業務委託や請負でデザインの仕事をしていると、クライアントや他のデザイナーとやり取りするデータのほとんどがAdobe形式です。
たとえば、印刷会社に入稿するデータや、他のデザイナーと一緒に作業するデザインファイル、またはWebサイトのコーディング用デザインなど、実際の制作現場ではIllustrator(イラストレーター)やPhotoshop(フォトショップ)のデータが現在でも標準になっています。
Canvaでもきれいなデザインは作れますが、文字の間隔の細かい調整や、素材自体を編集する自由度は限られているというデメリットがあります。
また、印刷に出したときに「色味が違って見える」「文字の表示が変わる」といったトラブルが起こることもあり、実務では少し扱いづらい場面もあります。
つまり、Canvaだけではプロとしての仕事を完結させるのは難しいということ。
「クライアントが求めるデータ形式で納品できる」ことも、信頼されるデザイナーにとって大切なスキルのひとつです。
個人で活動するなら、Canvaで十分なケースも多い
一方で、自分でお店を運営している方や、SNS・ブログを活用して情報発信している方にとっては、Canvaだけでも十分に素敵なデザインを作ることができます。
Canvaは操作が直感的でわかりやすく、テンプレートや素材も豊富に用意されているため、デザインの専門知識がなくても、ある程度完成度の高いデザインを作ることができます。
たとえば、
- Instagramの投稿画像
- LINE公式アカウントのリッチメニュー
- 自社サイトのバナーやヘッダー画像
- チラシや名刺の簡単なデザイン
などは、Canvaだけで十分きれいに仕上げられます。
また、チームでの共同編集やスマホからの操作も簡単なので、スピード感をもってデザインを仕上げたいときにも便利です。
ただし、印刷会社に入稿するような本格的な印刷データや、他のデザイナーとやり取りをする案件では、前述のようにAdobe形式のデータが必要になることが多いので注意が必要です。
ツールは“手段”、デザインは“伝える力”
Canvaは、スピーディーに見栄えのするデザインを作るにはとても便利。
でも、プロとしてクライアントワークを行うなら、Adobeソフトの利用は避けて通れません。
逆に言えば、Adobeを使っているからといって自動的に“良いデザイン”ができるわけでもありません。
大切なのは、ツールを超えた“伝える力”です。
そして、「どんな目的のために、このデザインを作るのか?」という問いに対し、明確な意図を持って形にできることです。
見やすく、わかりやすく、印象に残る。
そんなデザインを生み出すのはツールではなく、これまで培ってきた経験から生まれるデザインの考え方やセンスだと思います。
Adobe CCはデザインを始めてからずっと愛用しています!
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